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◆労働基準法と退職金問題

新会計基準の考え方は退職金は賃金の後払いという位置づけですが、労働基準法は賃金とは明確に区別しています。就業規則の必須記載事項のなかにも入っていません。退職時の金品の清算についても、退職金は賃金とは異なる扱いとなっています。これを受けて判例でも、退職金は在職中の社員の権利とは認めていません。このようなばらばらな混乱期にある退職金制度ですが、いったん就業規則に定められた限りは、退職時まで待たなければならないとしても明確に社員の権利として確定したものになります。

つまり不利益変更の問題として浮上します。コンサル会社や保険会社では、この不利益変更問題は避けるのが常識になっています。敢えて虎の尾を踏むことは誰もしたくはありません。しかしそれでいいのでしょうか?現実問題として高度成長期に作られた払いたくても払えない退職金規程を変えることは出来ないのでしょうか?退職時、つまりその組織から脱退する時のただ一度だけの退職金のために賃金や賞与をカットしたり、賃金の仕組みを第一基本給や第二基本給、訳の分からない様々な手当等で構成するのは本末転倒といえるのではないでしょうか?
払える退職金か払えない退職金かは、掛金の総額(内部留保分は0%の予定利率で計算した掛金)を見れば分かります。その掛け金の負担が将来的にも充分可能かどうかです。将来は何とかなるかもしれないと考えても何の保証があるわけではありません。将来はどうなるか分からないが、今払えるものは払うというのも立派な経営姿勢であると思います。

企業によって考えは様々です。長期勤務を歓迎する会社もあるでしょう。基本給に連動する退職金こそ理想的と考える会社もあるでしょう。賃金の差が大きければせめて退職金では余り差をつけたくないという会社もあるでしょう。今多くの企業は成果主義、時価主義という考えをベースに、退職金は後払いの賃金ではなく今現在の人件費として考え始めています。前払い制度の普及はそれを物語っています。今現在の人件費として考えれば、基本的にはじっと耐えて長期勤務さえすればよい退職金制度は極めて異例の制度であるといえます。というよりも熟練技能者によって支えられていた高度成長期の時代にこそふさわしい制度なのかもしれません。

主として勤続年数に比例する基本給連動型退職金では、功労者もそうではない方も余り差が付かない仕組みとなっているのが一般的です。これに対して、成果型退職金では勤続部分の比重の置き方にもよりますが、大きく差が出る仕組みとなります。勿論新制度への移行については、代替措置や経過措置、更には個人別シミュレーション等々必要ですが、退職金の減額というよりも全く違った仕組みの中で社員の方のインセンティブを期待するツールに変身します。全員がモデルどおり順調に昇進・昇格すれば掛金の額は今まで以上に高くなるかもしれませんが、その状態の会社は笑いが止まらないほどに儲かっているはずです。
そして、情報をオープンにし誠意を込めて説明すれば(結局はコミニュケーションです)分かってもらえるのではないでしょうか?そこまで誠意を尽くしても納得してもらえない方は、やはり縁がなかったものと考える他ありません。その上で、訴えられればその時はその時という開き直りも必要です。

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